第8回目 10月の活動 新学期がはじまって
新学期が始まって
10月から新年度が始まり、今セメスターは「教育問題」「第二言語(英語)の教育法」「教育における社会的権力のあり方」の3つの授業を履修しています。どの授業もディスカッションが中心で、前期よりもはるかに発言の機会が増えました。日本の教育について英語で意見を求められる場面も多く、緊張しながらも、自分の考えを言葉にして伝える楽しさと責任を感じています。
アジア人がいないクラスでは、日本の教育に強い関心を持ってくれる学生が多く、「日本ではなぜこうなの?」と質問されるたびに、日本の教育を見つめ直す貴重な機会になっています。また、日本ではあまり議論する機会のなかった教育カリキュラムの文化的側面などを改めて学び直すきっかけにもなりました。その一方で、ポーランドやドイツ、スペイン、トルコ、ウクライナなど、さまざまな国の教育の在り方を知り、それぞれの文化や歴史が教育に深く影響していることを実感します。来月には日本の教育問題についてプレゼン発表する予定で、海外の学生たちと率直に意見を交わす機会を心待ちにしています。
新年度ということもあり、大学全体が活気にあふれています。学生団体がほぼ毎日のように留学生向けのイベントを開催しており、毎日のように「初めまして」と挨拶を交わす新しい出会いがあります。ヨーロッパの学生にとって留学は特別なことではないようですが、だからこそ彼らの国際感覚や交流への積極性には強い刺激を受けます。
今期もヤゲウォ大学のメンター制度を利用しています。この制度は、現地の正規学生が留学生の生活をサポートしてくれるもので、前期もメンターのおかげで多くの経験ができました。前期のメンターは現在中国に留学していて少し寂しく思いましたが、新しいメンターが本当に素敵な人で、初めて会った日からすぐに打ち解けました。カフェで語り合ったり、ボウリングやパブに行ったり、ハロウィンパーティまで一緒に楽しんだりと、かけがえのない思い出が増えています。ポーランドでは多くの人がカトリックで、ハロウィンを宗教的な理由で祝わないと聞きました。日本では仮装を楽しむイベントとして定着していますが、その本来の意味や背景まではあまり知られていません。この文化的背景を知ったことで、ハロウィンという行事の見え方が変わり、価値観が広がったように感じます。

(写真1)本格的なハロウィンパーティでした。

(写真2)寿司作りを楽しんでもらいました。

(写真3)メンターとその友達と素敵な時間を過ごせました。
3か月ぶりの学校生活に少し戸惑うこともありますが、授業や友人との会話、そして新しい文化との出会いを通して、日々成長していることを実感しています。残りの半セメスター、最後の学生生活を一日一日大切に過ごしながら、ここでの学びや経験をこれからの自分につなげていきたいと思います。
日本語のイベントに参加して
クラクフには「Japanese Speaking Club」というコミュニティがあります。クラクフに住む日本人や、日本語を学んでいる人、日本文化に興味のある人が自由に参加でき、毎月一度集まりが開かれます。
私は今まで何度か参加しており、今月は久しぶりの参加でした。毎回新しい人との出会いがあり、日本語を流暢に話すポーランド人も多くいます。中には、日本に留学した経験があり、日本語を忘れないように参加している人や、日本には行ったことがないものの、アニメを通して独学で日本語を身につけた学生もいます。
参加者の多くは熱心に日本語を学んでおり、日本での思い出を楽しそうに語ってくださるので、とても嬉しく感じます。私はよく「日本のどこから来たの?」と聞かれるため、その機会に島根県を紹介しています。残念ながら、これまでに島根県を訪れたことがあるポーランド人にはまだ出会えていませんが、宍道湖の夕日や、山陰合同銀行の展望台から見た宍道湖の景色、松江城の桜の写真を見せながら話をすると、「きれい!」「行ってみたい!」と興味を持ってもらえます。
来月の集まりでは、島根県の「神在月」について紹介したいと考えています。
JCCのボランティアに参加して
今月はクラクフのJewish Community Center (JCC Krakow) で、3回のボランティア活動に参加しました。そのうち1回は、普段は毎週金曜日の休息日(シャバット)に集まるところ、10月6日から13日のスッコート(秋の収穫祭)の期間にあたったため、特別に10月6日の月曜日に集まりました。会場には普段より多くの人が集まり、にぎやかな雰囲気でした。ボランティアでは、食事の準備や片付け、会場の案内を担当しました。
この日は、2023年10月7日のイスラエルへの悲しい事件から2年が経つことを忘れないため、皆で祈りを捧げました。多くのイスラエル人が命の危険にさらされたことを思い、犠牲になった人々のために平和を願う時間です。私も会場の準備や案内を手伝い、皆が互いに支え合いながら静かに祈る姿を間近で見て、コミュニティの絆の強さを実感しました。また、今もなお拉致されている人々がいること、その人々がコミュニティにとって大切な家族や友人であることを知り、祈りの意味の重さをより深く感じました。

(写真4)平和の大切さを改めて考えるきっかけとなったイベントでした。
別の日のシャバットディナーでは、アメリカに住んでいるコミュニティの大きなグループが参加していました。この日は、ホロコーストの生存者であるベルナール・オッフェンさんのお話を聞く機会がありました。オッフェンさんはクラクフゲットーやアウシュヴィッツ=ビルケナウなど、ナチスの強制収容所を含む5つの収容所を生き延びた方です。長年にわたりホロコーストの証言活動を続けていらっしゃいます。多くの人々が彼の話を聞くために集まり、真剣に耳を傾けていました。私もボランティアとして会場の準備や案内を手伝いながら、人々が彼の体験を通して学び、ユダヤ人コミュニティのつながりを大切にしている様子を感じました。
毎週のシャバットディナーの会場には、シニア世代から小さな子どもまで幅広い世代が集まり、皆が楽しそうに過ごしています。こうした安心して集まれるコミュニティは、人々がつながりを感じる場所であり、互いに助け合いながら暮らす力の源でもあると感じました。教育や地域づくりにも通じるもので、人と人との支え合いが地域の元気や暮らしやすさを支えていると実感しました。
このコミュニティでは、ボランティアの人のためのイベントもあります。今回は、今年の活動を振り返りながら来年の計画を立てる会があり、みんなでお茶のブレンドやピクルス、ジャム、蜂蜜漬け作りをしました。

(写真5)ナッツとドライフルーツの蜂蜜漬けを作る様子です。

(写真6)初めてのピクルス体験を楽しみました。
ポーランドでは、民主化前は冬に新鮮な野菜や果物がほとんど手に入らなかったため、秋のうちに瓶詰めにして保存する習慣があったというお話を聞きました。現在では一年中食材が手に入りますが、この瓶詰め文化は家庭の大切な伝統として今も受け継がれているようです。10月のクラクフはすでに寒く、ダウンコートが必要な季節です。日本ではあまり経験できない冬の準備を通して、文化の違いを感じながらとても貴重な体験ができました。
今月のまとめ
今月は、授業やボランティア活動、日本語イベントなどを通して、多くの学びと出会いがありました。
また、さまざまなコミュニティに参加した中で、家族や学校以外にも安心して人が集まれる場所の存在が、地域の活力や人々の支え合いを生み出していることを実感しました。私はもともと人と集まることが好きですが、JCCで多世代の人々が自然に交流し、笑顔で過ごす姿から、人とのつながりを生む場が地域の豊かさや暮らしやすさを支えていることを学びました。こうした経験は、今後の地域創生の在り方を考える上で、貴重な示唆となりました。
さらに、この留学中にポーランドの公立小学校を訪問し、私の留学目的である「ふるさと教育」について、ポーランドの教育現場から新たな視点を得たいと考えています。
そして、このたび実習先の公立小学校が決まり、11月からその準備を始める予定です。現地の教育実践を直接体験し、島根県の地域教育に活かせる学びを深めていきたいと思います。
この1か月を通して感じた人とのつながりや学びを大切に、残りのセメスターも積極的に挑戦を続けていきたいと思います。










