第1回目 3月の活動 ポーランドでの学生生活スタート
「ポーランド留学、いよいよスタート!」
私は、交換留学制度を利用して、2025年2月26日から1年間、ポーランドのクラクフにあるヤゲウォ大学に留学しています。滞在先は、大学から徒歩30分の学生寮で、現地で知り合った韓国人の友達とルームシェアをしています。ヤゲウォ大学では、哲学部 教育学研究所(Faculty of Philosophy, Institute of Pedagogy)に在籍し、主に教育やポーランドの文化に関する授業を履修しています。
写真1:大学とは思えない素敵な建物
留学生活が始まって約1ヶ月が経ち、少しずつ授業や現地の暮らしにも慣れてきました。これからさらにどんな発見があるのか、毎日ワクワクしています。
「なぜポーランドへ?」
私は、どうしても長期留学をしたいという夢がありました。しかし、大学生のときはコロナの影響で行くタイミングを逃してしまいました。社会人として働く前に「やっぱり留学に行きたい」「諦めたくない」「今からでも遅くない」と思い、大学院2回生の卒業間際で留学を決意しました。留学先を考える中で、「ヨーロッパへ行ってみたい」と思い、交換留学先の中からポーランドを選びました。その理由は以下の通りです。
○アカデミックな理由
- EU諸国の中で若者の生活満足度が高いことを知り、島根県の若者や子どもたちを盛り上げるヒントを得たい
- 将来、小学校の先生として働くために、歴史や政治への理解を深め、自信を持って教えられるようになりたい
- 英語で授業を受けられるため、語学力を向上させたい
○アカデミック以外の理由
- 治安が良い
- 親日国である
- ヨーロッパの中で物価が比較的に安い
- 街の景観が美しい
- ヨーロッパ各地への旅行に行きやすい
- 英語が通じる
- 日本人が多すぎない
ポーランドについて詳しくは知りませんでしたが、調べていく中でEU諸国の中でも若者の生活満足度が高いことを知りました。島根県では、多くの若者が地元を離れてしまう課題があります。その解決のヒントがポーランドにあるのではないかと考え、「若者の満足度が高い理由は何か?」を知りたいと思いました。また、私はこれまで歴史や社会政治に苦手意識がありましたが、将来、小学校の先生として子どもたちにしっかり教えられるようになりたいと考えていました。ポーランドは歴史的にも学ぶことが多い国であり、特にヨーロッパの歴史を学ぶには最適な環境だと感じました。実際にポーランドで生活してみると、歴史をより身近に感じる機会が増えました。ポーランドにはアウシュビッツ強制収容所があり、現在住んでいる寮の近くにもかつてユダヤ人が住んでいた街があります。授業で聞いた「ユダヤ人」「アウシュビッツ」「ホロコースト」といった単語が、実際にこの地と深く関わっていることを知り、学んだ歴史が、現実のものとしてより実感できるようになりました。さらに、ポーランドはウクライナの隣国であり、社会情勢を身近に学ぶことができる国です。日本では社会問題について若者同士で話し合う機会が少ないと感じていましたが、ヨーロッパでは日常的に政治や国際情勢について議論されると聞き、「世界の視点で物事を考えられるようになりたい」と思いました。このような理由から、私はポーランドを留学先として選び、実際にポーランドに来てから歴史や社会について学ぶ機会が多く、自分の選択は正しかったと感じています。
「大学生活について」
私は現在、ヤゲウォ大学で3つの授業を履修しています。授業にはポーランド人の学生に加えて、ヨーロッパ各国からの留学生も参加しています。これは、EU加盟国を中心にヨーロッパ域内での相互理解を深めることを目的とした「エラスムス(Erasmus+)」という交換留学制度によるものです。そのため、正規生だけでなく、さまざまな国の留学生と一緒に学ぶことができます。1つ目の授業は、学校教育に関する授業です。各国の教育課題や宗教教育、創造性についてなど、毎回異なるテーマに沿って議論を行います。特に、教育大国とされるフィンランドをはじめ、ポーランド、スペイン、イタリアの学生と意見を交わすことで、それぞれの国の教育の違いや共通点を知ることができ、とても貴重な経験になっています。2つ目の授業は、知的障がい者の支援に関する授業です。この授業では、大学周辺の特別支援学校を3回訪問する機会がありました。私は日本の特別支援学校での実習を経験できなかったため、比較ができないことが残念ですが、それでも異なる国の支援のあり方を学べることは大変興味深いです。3つ目の授業は、ポーランドの食文化について学ぶ授業です。毎回、先生がポーランドの伝統的な料理(ポンチキ、オブヴァジャネック、キルバサなど)を紹介し、試食の機会があります。また、学生自身がポーランド料理を作り、その料理の意味や歴史、慣習についてプレゼンを行う課題もあります。私はすでに、クティアというクリスマスに食べるデザートを作り、授業で発表しました。本物のクティアを食べたことがなかったため少し不安でしたが、受講生が「美味しい」と言ってくれたことがとても嬉しかったです。
写真2:クティアの作り方をVlog風の動画にしてプレゼンしました
「1ヶ月経って感じたこと」
ヨーロッパはスリの心配があると思っていましたが、実際に暮らしてみると、とても安全な街だと感じました。信号のない横断歩道では、日本よりも歩行者優先の意識が進んでおり、車がしっかりと止まってくれることに驚きました。バスやトラムは学生なら20分以内の乗車で2zł(約80円)と非常に安く利用できます。しかし、街が美しく歩くのが楽しいため、大学までの約30分の道のりはほとんど徒歩で通っています。大学のキャンパスは街のさまざまな場所に点在しており、観光地の一つであるメイン・スクエア内にもあります。馬車が行き交う広場を通り抜ける通学は、新鮮で特別な体験です。
写真3:観光地の目の前で授業を受けています
さらに、美術館や観光施設には学生料金が設定されており、学生に優しい街だと感じます。
写真4:美術館が1zł(約40円)くらいで入れました
授業で知り合った友人と休日に遊びに行く機会も増え、英語でのコミュニケーションにも徐々に慣れてきました。
写真5:暖かくなり友人とピクニックをしました
写真6:友人と岩塩坑ツアーへ行きました
ただ、授業の内容はまだ完全に理解できていない部分も多いため、復習をしながら毎日努力しています。
この1ヶ月は生活に慣れることに精一杯でしたが、来月は地域のイベントへの参加や特別支援学校でのボランティアを通じて、地方創生や教育の視点から若者の満足度向上のヒントを得たいと考えています。