ホームステイを通して

私の大学は10月1日から授業が始まるため、今月も自由な時間が多くありました。そのため、再びポーランドでホームステイをしました。今回お世話になったのは、小さなお子さんが二人いるご家庭で、ポーランドの首都ワルシャワから車で約1時間半の場所に住んでいらっしゃいます。クラクフからは電車で約3時間半かかる場所でした。

このご家庭は、コロナ禍にワルシャワから引っ越してきたそうです。もともと都会の生活に慣れていたそうですが、お母さんのおじいさんの家に住み始めたとのことでした。家の周りは森に囲まれており、近所の家も見えないほど離れています。お庭には温室(グリーンハウス)があり、果物や野菜を育てていました。滞在中には、家庭菜園で収穫した新鮮な食材を使った料理を一緒に食べることができ、自然に囲まれた暮らしの魅力を実感しました。

特に印象的だったのは、季節に合わせた暮らしの知恵に触れられたことです。ポーランドの冬はとても寒く、野菜をジャーに詰めて地下室に保存する習慣があると聞きました。私も一緒に大きなかぼちゃを切る作業(写真1)や、庭で葡萄を収穫して房を取って洗う作業(写真2)、休日にはじゃがいも収穫祭の準備を手伝いました。どれも日本ではなかなか体験できない貴重な作業で、家族の一員になったような気持ちになりました。

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(写真1)大きなかぼちゃを切るのは硬くて大変でした。

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(写真2)葡萄の収穫は初めての経験でした。

また、家族と一緒にクネドレというポーランド料理を作ったことも大きな思い出です。じゃがいもの皮を剥いて茹で、マッシュした生地でプラムを包んで茹でる料理で、ほんのり甘くて優しい味がしました。初めて聞いた料理だったので、自分の手で作り、できたてを一緒に食べることができたのはとても嬉しかったです。ホームステイを通して、「本物のポーランドの家庭料理」に触れられたことが貴重な経験になりました。

さらに、4歳と1歳のお子さんとも毎日たくさん遊びました。4歳の子は簡単な英語でコミュニケーションが取れるため、一緒に本を読んだり、庭を走り回ったり、絵を描いたり、折り紙をしたりしました。特に折り紙はとても気に入ってくれて、紙飛行機や動物、花などを作るたびに目を輝かせて喜んでくれました。滞在の最後には「今までホームステイに来てくれた人とこんなに遊んだのは初めて。遊んでくれてありがとう」と何度も言ってくれて、私も胸が熱くなりました。折り紙のおかげで言葉の壁を超えて心を通わせ、楽しい時間を共有できたことは今回のホームステイの一番の思い出です。

お家の近くにはŻyrardów(ジラルドゥフ)という街があり、かつてリネン工場として栄えた地域です。町には赤レンガの工場跡や古い建物が残り、どこか共産主義時代の雰囲気を感じることができます。買い物の際には一緒に出かけ、車で20分ほどのところにあるマーケットに行きました。私は当初、スーパーマーケットに行くのだと思っていましたが、実際には広い敷地に野菜や果物、日用品などを並べる露店が並んでいて、青空市場のような雰囲気でした。

買い物の帰り道に「いつもここで買い物をするのですか?」と質問すると、「スーパーマーケットだとお金を払って終わりでつまらないけれど、ここではお店の人と会話ができるから楽しい」と教えてくれました。(写真3)たしかに、日本ではセルフレジなどで効率的に買い物ができますが、ここでは野菜を作った人の顔が見えたり、直接会話をしながら買い物ができたりと、ただの買い物ではなく温かい交流の場になっていると感じました。また、じゃがいもを売るお店だけでも何軒もあり、「どのお店を選ぶのですか?」と聞くと、「まだここを使い始めたばかりだけど、一度買って良かったところは続けて買うようにしている」と話してくれました。(写真4)似たようなお店が並ぶ中で、お店を選んでいくのも地域に馴染むひとつのプロセスなのだと感じ、面白いと思いました。

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(写真3)店員さんとたくさんお話をしながらお買い物をされていて楽しそうでした

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(写真4)どのお店もこのようにじゃがいもがたくさん置かれていました

 

今回のホームステイでは、田舎ならではの自然の中で過ごし、子どもたちと遊んだり、地元のマーケットで買い物をしたり、家族と料理をしたりと、地域の暮らしに溶け込む貴重な体験ができました。都会では味わえない落ち着いた時間と、人と人とのつながりの温かさを改めて感じる1週間となりました。

さらに、最終日の休日には親戚や友人など約20人が集まり、じゃがいも収穫パーティが開かれました。(写真5)今年からじゃがいも作りを始めたとのことで、私も一緒に収穫を体験させてもらいました。とても広い敷地一面にじゃがいもが植えられていて、藁をめくるとゴロゴロと出てくるじゃがいもを宝探しのように掘り出すのがとても楽しかったです。家族や友人たちと一緒に土に触れながら収穫する時間は、普段の生活では味わえない特別な経験でした。収穫したじゃがいもは山のように積み上がり、その量の多さに驚きました。ポーランドの田舎ならではの大規模な収穫の様子を間近で見られたことは、本当に貴重な思い出です。

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(写真5)じゃがいもの収穫は簡単で楽しかったです

夏休み中のホームステイを振り返って

7月から9月にかけて、私はポーランドで3回のホームステイを経験しました。クラクフという大都市での便利な生活から少し離れ、自然豊かな田舎での暮らしを実際に体験することは、私の留学目的である「地方創生をポーランドから学ぶ」というテーマと深くつながる貴重な経験となりました。

それぞれの家庭で過ごす中で感じたのは、便利さに囲まれた都市生活とは異なり、自然や人との関わりが日常生活に自然と組み込まれているということです。庭で野菜や果物を育てて収穫したり、森を散歩したり、収穫祭を家族や地域の人々と楽しんだりする中で、「不便=不幸せではない」ということを強く実感しました。むしろ、体を動かし自然に触れることが生活の一部になることで、心身ともに軽くなるような感覚がありました。

また、ポーランドの田舎暮らしは、日本で想像する「山奥の生活」とは少し異なります。都市から完全に切り離されるのではなく、車や電車で数時間の距離に都市があり、自然と都市の両方の利点を享受できる「バランスの取れた暮らし」が営まれていました。ホストの方々の中には、「都会よりも田舎のゆったりした生活のほうが自分には合っている」と話し、実際に都市から田舎へ移住された方もいました。暮らす場所の選択は、家族や友人の存在だけでなく、自然との関わりや生活環境そのものが大きな要素になることを学びました。

この経験は、私の出身である島根県のことを考えるきっかけにもなりました。島根には森や湖、川、海といった豊かな自然環境がありますが、私自身は子どもの頃、外で遊ぶよりも家の中で過ごすことが多かったように思います。自然が身近にあっても「どう楽しむか」という仕組みや体験が十分に整っていなかったのかもしれません。

島根でも、森でのアクティビティや湖・川を活かした遊び、海を取り入れた体験など、自然を日常に組み込める仕組みづくりが進めば、若者が「田舎の暮らしそのものを魅力的」と感じるきっかけになるはずです。実際に最近では、アウトドアイベントや地域の自然を活かした取り組みが少しずつ増えていると感じます。こうした活動がさらに広がれば、若者が自然を身近に感じ、田舎での生活を前向きに捉える流れにつながるということを学びました。

今月のまとめ

ホームステイを通して学んだのは、「環境に心地よさを見出し、それを自分の暮らしに取り入れること」の大切さです。地方創生を考える上で、単に利便性を追求するのではなく、自然や人とのつながりから得られる豊かさをどう共有し、若者が「暮らしそのものが心地よいから戻る」と思える環境をつくっていくかが重要だと感じました。また、島根県に戻った際には、森や湖、川、海といった豊かな自然を生活の中に取り入れる仕組みづくりや、若者が自然の中で「ホッとできる居場所」を見つけられるような活動に関わっていきたいです。今回の体験で得た学びを、自分の将来の取り組みに生かしていきたいと思います。

またホームステイ中に体調を崩し、食事をするとお腹が痛くなる状態が続きました。ポーランドの医療制度は基本的に無料で利用できると聞いていましたが、待ち時間が長いことやサービスへの不安の声をポーランド人の友人から聞いていたため、正直不安を感じていました。私は留学保険会社を通じて予約してもらった「Centrum Medyczne Medicover」という病院にかかることになりましたが、ここは公立病院ではなく私立の医療機関だったようです。

実際に診察を受けて驚いたのは、日本のように診断名がすぐに提示されるのではなく、触診で終わることもあり、病名が特定されないまま薬を処方されたことです。また、薬も日本の薬局で処方されるものとは異なり、ドラッグストアで市販されているような箱入りの薬を自分で購入する形式でした。さらに完全予約制で、血液検査やエコー検査を受けてもその結果は後日まで確認できず、担当の先生の予約も1週間後しか取れないなど、日本と比べて時間がかかる仕組みでした。

最終的に4回病院に通いましたが、痛みは10日以上続き、日本で体調を崩した際に食べていたような消化の良い食品もスーパーではなかなか見つからず、ほとんど食べられない生活になりました。その時は本当に日本に帰りたいと思うほど、心身ともに辛い体験でした。

この出来事を通じて、海外生活では医療や食文化の違いが大きなハードルになることを実感しました。普段当たり前のように受けられる日本の医療の迅速さや、安心して食べられる食品の豊かさを改めてありがたく思うとともに、もし将来、外国人受け入れに関わる立場になるなら、こうした「医療・食生活の安心感」も大切な支援の一つになると感じました。