今月の大学生活

今月は、今学期履修している講義の内容と、ドイツ社会全体で重視されているトレンドが重なり、持続可能な社会について深く学ぶ期間となりました。私が所属しているカトリック大学は、小規模な大学でありながら、ドイツ国内におけるビジネス分野の教育に力を入れており、Googleをはじめとする多国籍企業や有名企業で活躍する卒業生も多くいます。

今月は、そのような卒業生や各企業の責任者を大学に招き、実際の企業活動や業界の変化について学ぶ講義が多く行われました。講義では、各業界が持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいる最先端の技術や、実際の進捗状況について学ぶことができました。

また、ドイツの大学らしく、単に教授やゲストスピーカーの話を聞くだけではなく、学生自身がディスカッションを行い、アイデアを出し、プレゼンテーションを行う機会が多くありました。さらに、実際に企業で責任ある立場にある方々から直接フィードバックを受けることもできまし た。

ここでの学びは、やはり一方的な講義ではなく、学生が自分の意見を持ち、それを発信しながら社会課題について考える実践的なものだと感じました。特に、持続可能な社会というテーマは、環境問題だけでなく、企業の経営、労働環境、地域社会のあり方とも深く関係していることを学びました。

大学を選んでいた当時、現在所属している国際関係学部だけではなく、経営学部や経済学部への進学も考えていた僕にとって、この経験は当時の関心を別の形で実現できたような、とても嬉しいものでした。

 

イベリア半島への小旅行

今月の前半はドイツの祝日が重なり、5日間ほどの休みがあったため、イベリア半島のスペイン、ポルトガル、アンドラ公国へ小旅行に出かけました。

スペインのマドリードでは、昨年12月にチェコのホステルで知り合った、マドリード出身の友人ニコさんと念願の再会をしました。マドリード市内の公園を一緒に歩いていた際、偶然にも在マドリード日本人会が主催するイベントが開催されていました。そこでは、日本の盆踊りとスペインの伝統的な踊りであるホタ(Jota)を組み合わせた文化交流が行われていました。私たちもそのイベントに参加し、僕はスペインの伝統的な踊り文化を学び、ニコさんは日本の盆踊り文化に触れる機会となりました。偶然ではありましたが、互いの文化を知る良い国際交流の場になったと思います。

その後、ニコさんの友人と合流し、みんなで夕食を食べました。その中で、同じ旅人として、今度はみんなでブラジルに行こうと約束しました。そのため、僕もそれまでにスペイン語とポルトガル語を少しずつ学んでみたいと考えています。

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スペインの公園で盆踊りをする友人

 

効率より大切な持続可能な社会

皆さんは、「ドイツ」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。サッカー、ビール、ソーセージ、自動車など、さまざまなイメージがあると思います。しかし、実際に僕がドイツで生活する中で最も強く感じたのは、ドイツはサステナビリティを社会全体で大切にしている国だということです。

ドイツで持続可能な社会について学ぶ中で、サステナビリティは環境問題だけではなく、企業や個人の行動、地域社会の仕組みとも深く関係していると感じました。ドイツでは再生可能エネルギーの導入が進んでおり、2024年には総電力消費に占める再生可能エネルギーの割合が54.1%に達しています。また、温室効果ガス排出量も2024年には6億4,900万トンとなり、1990年と比べて大きく減少しています。このような数字を見ると、ドイツでは持続可能な社会が単なる理念ではなく、政策や企業活動、日常生活の中で実際に進められていることが分かります。

また、企業や個人の取り組みの中に、僕がドイツで追究している便利さや効率をあえて少し落としてでも、環境への負担を減らそうとする仕組みがあります。例えば、ドイツではペットボトルや缶を購入する際に、商品の代金とは別にデポジットを支払う仕組みがあります。使い捨ての飲料容器には25セントのデポジットが設定されており、飲み終わった容器をスーパーなどの回収機に返すことで、そのお金が戻ってきます。消費者にとっては、購入後に容器を保管し、店まで持って行く手間があります。しかし、その手間があるからこそ、容器を捨てずに回収する意識が生まれ、リサイクルにつながっていると感じました。

また、最近ではペットボトルのキャップが本体から完全に外れない形になっています。これはEUの使い捨てプラスチック規制によるもので、2024年7月からEU内で販売される一部の飲料容器には、キャップをボトルに付けたままにすることが求められています。飲む時には少し邪魔に感じることもありますが、キャップだけが落ちたり、分別されずに捨てられたりすることを防ぐための仕組みです。このような制度から、ドイツやEUでは便利さだけを優先するのではなく、日常生活の中で人々の行動を少しずつ変えることによって、環境への負担を減らそうとしていることが分かります。 

さらに、インゴルシュタットには、単に不要になった物を回収するだけではなく、地域社会と結びつきながら環境保護に取り組んでいる企業もあります。講義を通じて調査したこの企業は、家具や衣類、生活用品などの不要品を地域住民から回収・再利用するだけでなく、地域の中で約50人の雇用を生み出し、難民支援にも関わっています。少し郊外にあるにもかかわらず、サステナビリティへの意識が高いドイツらしく、市内から多くの人が不用品を寄付しに来ていました。

ドイツにおける持続可能性とは、環境だけを守ることではありません。まだ使える物を廃棄せずに再利用することは、もちろん環境保護につながります。しかし、それだけでなく、地域で仕事を生み出し、社会的に支援を必要とする人々の生活を支えることも、持続可能な社会の重要な一部です。つまり、サステナビリティはごみを減らすことだけではなく、環境、雇用、福祉を同時に考える仕組みでもあります。ドイツでの生活を通して、持続可能な社会とは、効率や便利さだけを追求するのではなく、少しの不便さを受け入れながら、社会全体が長く続いていく仕組みを目指すものだと感じました。

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ドイツ全土のスーパーにあるペットボトル回収マシーン

 

来月について

現在、来月の大きなプロジェクトに向けて、さまざまな準備を進めています。来月は、ドイツにおける長距離トラックドライバーの労働環境について調査を行う予定です。

日本では、長時間労働問題の中でも、特に長距離トラックドライバーの働き方が大きな課題になっています。物流業界では、2024年4月からトラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用されるようになり、これまで「物流の2024年問題」として社会的に注目されてきました。これは、労働時間を制限することでドライバーの健康を守る一方、輸送力の低下や人手不足が懸念される問題でもあります。

では、日本とほぼ同じ国土面積を持ち、労働時間の管理が厳しいイメージのあるドイツでは、長距離トラックドライバーの実態はどのようになっているのでしょうか。長距離トラックドライバーは、国内や国境を越えた物流を支える重要な役割を担っています。しかし、仕事の性質上、移動時間、荷待ち時間、休憩場所の確保、家に帰れない生活など、労働時間だけでは測れない負担も多いと考えられます。そのため、来月は長距離トラック専用の駐車場などで聞き取り調査を行い、ドイツのドライバーが実際にどのような働き方をしているのかを調べてみたいと考えています。特に、運転時間だけではなく、拘束時間、休憩の取り方、仕事と生活のバランスに注目したいです。

これまで僕は、ドイツにおける短時間労働や効率的な働き方について分析してきました。しかし、ドイツにも長時間働いている人々は存在します。来月は、そうした長時間労働者にも目を向け、ドイツ社会の働き方をより多面的に分析してみたいと思います。