第5回目 2月の活動 留学生活とドイツにおける企業、組織での病欠制度について
2026年03月10日
留学が始まり間もなく半年を迎えようとする今月は、大学での期末試験がある中で、これまでの疲れが蓄積していたのか月初めから発熱し、しばらく寝込んでしまいました。しかし、その経験を通してドイツの労働環境や生活環境に対する新たな発見をすることができました。
留学生活
今月は、現在在籍しているカトリック大学のウィンターセミスターの最終月であり、期末試験の実施や、これまで半年間共に学び生活してきた世界各国の交換留学生との別れなど、私自身の留学生活の一区切りとなる重要な月でした。
すでにこれまでのレポートで述べた通り、ドイツの大学生は試験に対して非常に真剣に取り組みます。そのような環境の中、私自身も2月中旬の試験に向けて準備を進めていましたが、不運なことに2月に入ってすぐ体調を崩してしまいました。ドイツの冬は日本と比較して非常に厳しく、冷たい風が常に吹き、数週間にわたって曇天が続くことも珍しくありません。こうした気候の違いや、これまでの生活の疲労が重なったことが原因であると考えられます。その結果、試験では自分の実力を十分に発揮することができず、悔しさの残る結果となりました。
また、これまで共に勉強し、ヨーロッパ各地を旅行してきた交換留学生の友人たちとも、今月で別れを迎えることとなりました。そこで私たちは、最後の思い出として試験終了後にイタリアへ旅行に行きました。ドイツ、特にミュンヘン近郊からイタリアは地理的に近く、飛行機やバスを利用することで比較的安価に移動することができます。私たちはナポリから旅を開始しました。
しかし、ナポリ到着直後に衝撃的な出来事を経験しました。空港から市内へ向かうタクシーが、突然横から現れた電動スクーターと衝突事故を起こしたのです。さらにその後、ドライバーとスクーターの運転手が話し合いをしている最中、突然3人組の男が現れ、トランクを開けて私たちの荷物を盗もうとしました。幸いにもタクシードライバーがすぐに気が付き対応してくれたおかげで被害は0でしたが、トランクを開けて物を盗まれそうになる新たな体験をしました。皆さんももし海外でタクシーに乗る機会があれば貴重品は必ずトランクに入れないで手元においてください!
体調が完全に回復していない状態で試験を受けたこともあり、旅行初期には再び体調を崩し、最初の2日間はホテルで休養することとなりました。しかしその後回復し、ローマ、バチカン市国、フィレンツェ、ベネツィアと各都市を訪れ、歴史や文化に直接触れる貴重な経験をすることができました。
旅の途中、以前から個人的に強い関心を持っていた世界で5番目に小さい国であるサンマリノ共和国を友人に許可を取り単独で訪問しました。人口規模は島根県浜田市と同程度でありながら、山の上に位置する旧市街は美しい景観を有し、多くの観光客で賑わっていました。
正直その景色を見たとき、私は完全にほれ込みこれまでの人生で旅した17か国の中で一番好きになりました。同時に、小規模な都市であっても、歴史的価値や景観を活かすことで国際的な観光地として発展できることを実感しました。この経験から、浜田市においても、地域の特性を活かした観光振興の可能性があるのではないかと考えるようになりました。

ローマのコロッセオ

サンマリノ共和国(世界で一番古い共和国)
ドイツの労働環境における病欠制度
前半に述べたように、今月私は体調を崩し、現在労働環境の調査対象として勤務しているノースフェイスでのミニジョブに出勤することができない日がありました。しかしその際、ドイツでは体調不良で休息を取った場合でも給料が保証される制度があることを教えてもらいました。
そこで調べてみたところ、ドイツには Entgeltfortzahlung im Krankheitsfall という制度があり、体調を崩した際に医師の診断書があれば、最大6週間まで雇用主が所得の全額を保証する仕組みが存在しています。
日本では体調を崩した場合、一般的には有給休暇を使用するか、あるいは欠勤扱いとなり無給になることが多いですが、ドイツでは体調不良が有給休暇日数を減らす原因になることはありません。有給休暇は人生を充実させるための休息として位置づけられており、一方でEntgeltfortzahlung im Krankheitsfallは病気や体調不良の際に回復のために使用する休息として明確に区別されています。このように、休暇の目的が制度的に明確に分離されている点が大きな特徴です。
さらに、体調不良に対する文化的な認識にも違いが見られます。日本では「体調管理も仕事のうち」という考え方が存在し、体調不良を個人の責任と捉える傾向が少なからずあります。しかしドイツでは、体調不良は誰にでも起こりうるものであり、個人の責任ではないという認識が広く共有されています。そのため、無理に出勤するのではなく、回復を優先して休むことが当然の行動として社会的に受け入れられています。
また、この制度において重要な役割を果たしている医師の診断書の仕組みも、ドイツの労働文化を深く反映しています。ドイツでは、日本と同様にすべての国民が健康保険カードを所持しており、診断書を発行してもらう際にはそのカードを使用して最寄りのファミリードクターを受診します。そして診断書が発行されますが、この診断書には症状や病名などの個人の健康状態に関する詳細な情報は一切記載されていません。明記されているのは医師の情報と、「いつまで労働が不可能であるか」という期間のみです。
さらに、この診断書の情報は電子的に雇用主へ送信される仕組みとなっており、従業員自身が詳細な病状を説明する必要はありません。これは、労働者のプライバシーを保護するという考え方に基づいています。
このようにドイツでは、雇用主は労働者の病状の詳細を把握せずとも、その申告と医師の判断を信頼して制度を運用しています。個人情報が厳格に守られている一方で、この制度は労働者の誠実さを前提として成り立っており、労働者と雇用主の間に強い信頼関係が存在し性善説の下で成り立っているのです。
このように、ドイツの労働環境や労働システムは本当にドイツの国民性や労働の効率と人権のバランスが絶妙になるほど道理的に構築されています。
↑AU Entgeltfortzahlung im Krankheitsfallのシステムで使われる診断書(僕自身の実物AU、個人情報保護のため一部AI編集あり)
今後の予定
留学が始まってから間もなく半年を迎えようとしますが、正直思ったより収穫があります。当初はもっとシステムや法律など表面的な研究が大多数を占めると考えていましたが企業の内部や社会システムの内部など現地で生活し社会に溶け込むレベルの調査もできて大変光栄だと思っています。ドイツに渡航してから初回のレポートに書いたように現地の空手クラブに参加したり数か月前から現地の野球クラブに参加しています。そこにはインゴルシュタットで働く様々なドイツの方たちが活動をしており、大学生活以上にドイツの労働現場に対する理解ができます。現在はアウディで働くエンジニアにインタビューのアポイントメントをとっています。さらに先週野球クラブの方でインゴルシュタットにある欧州を代表する世界的企業エアバスの工場でドイツ軍と共にマネージャーとして働く方にもアポイントメントをとることができました。もちろん先ほども言った通りドイツの法律や歴史の視点からも労働システム、環境を深堀することは必須です。
次の半年間は現地で働く方のインタビューを続けると同時に歴史や法律からの視点も深堀りし、さらに大学院進学、卒業論文に向けてミニジョブや上記の歴史、法律さらに今後発見するかもしれないドイツの制度を細かく比較や調査をし自分の夢を追いかけます。










