第6回目 3月の活動 ドイツにおけるフリーランスと留学生活
2026年03月31日
春休みである今月は、地元のスポーツクラブで野球や空手の練習に取り組むなど、自身の趣味に時間を充てました。同時に、ドイツ人コミュニティに参加することで、ドイツの文化や思想について、表面的な理解にとどまらず、より本質的で深い理解を得るよう努めました。またこの留学生活の半年間を振り返り、自身の成果と課題を整理するとともに、今後の半年間に向けた目標の設定を進めました。さらに、周囲の同級生が就職活動を次々と終えていく様子を受け、自身の将来について改めて真剣に見つめ直す契機となりました。その結果、これまで掲げてきた目標を再確認し、ドイツ留学で得た経験を卒業論文に結びつけるとともに、将来的な国連インターンシップへの挑戦を視野に入れ、大学院への進学を目標として設定しました。
この目標を達成するためには、TOEFLで100点以上を取得することが不可欠です。そのため、今後の半年間は、英語資格取得に向けた環境整備を重視し、大学ではリスニング能力の向上に資する講義を積極的に履修していきます。また同時に、国連機関や研究者による労働社会学・労働研究・国際関係学に関する英語論文の読解に取り組み、アカデミックな語彙力の向上とともに、自身の論文の質的向上を図っていきたいと考えています。
私はこの留学において、一つの私的な目標を設定しています。それは、ヨーロッパのすべての国を訪れることです。というのも、国によって人々の思想や価値観は大きく異なり、ある研究では、多様な思想に触れることによって、より中立的かつ冷静に物事を分析できるようになると指摘されているためです。
そのため私は、各国を訪れる際には、単なる観光名所の訪問にとどまらず、現地の人々が日常的に利用する場所に足を運び、積極的に交流することを心がけています。また、ホステルに宿泊することで各国から集まる旅行者と意見交換を行い、多角的な視点を得るよう努めています。
これまでに、これまでのレポートでも述べた通り、スイス、ポーランド、オーストリア、チェコ、ハンガリー、スロバキア、イタリア、フランス、バチカン市国、サンマリノを訪れてきました。
そのような中、今月は約40時間という短期間ではありましたが、ギリシャを訪れました。ドイツから飛行機で約3時間の距離に位置するギリシャは、ヨーロッパ文化の重要な源流の一つです。ギリシャで誕生した建築様式(ドーリア式、イオニア式)は、ヨーロッパ全体に大きな影響を与えてきました。それに加えてこの影響はイタリアに残る約2000年前の遺跡など紀元前前後の遺跡だけではなく、ドイツのインゴルシュタットから電車で約2時間の場所にある1842年完成のWalhalla神殿にも影響が確認できます。
このような歴史的背景を持つギリシャにおいて、私はアクロポリスをはじめとするヨーロッパ文明の起源に直接触れることで、ヨーロッパに対する理解をさらに深めることができました。
私は3月22日から人生最長のたびに出かけます。今回の旅は北欧でオーロラやフィヨルドなどのヨーロッパの大自然を体験するだけではなく。ウクライナ侵攻後にロシアとヨーロッパの分かれ目であるエストニアのナルバに行き現在の状況とソ連から最初に独立したバルト三国での反ロシア思想に対する理解とその逆であるベラルーシによる親ロシア思想に対する理解を深めたいと思います。

写真1:アクロポリス ギリシャ BC450年

写真2:パンテオン神殿 イタリア 120年

写真3:Walhalla神殿 ドイツ 1842年

写真4:ギリシャ オリンピックスタジアム
ドイツにおけるフリーランス
現在、複数の方にアポイントメントを取り調査を進めていますが、その中で、ドイツにおいて2008年からビジュアルマーケティングのスペシャリストとして活躍しているフリーランス「ミス・ビジュアル」(仮名))にインタビュー調査への協力を得ることができました。
近年、日本においても夢の職業という話でフリーランスを志向する人が増加しており、市場は飽和状態にあると指摘されています。実際、ファインディ株式会社の調査では、フリーランスの約3人に1人が正社員への転向を希望しているという結果も報告されています。このように「自由な時間に働ける」「在宅で働ける」といったイメージを持たれがちなフリーランスという働き方は、ドイツにおいてどのように位置づけられているのでしょうか。
まず、日独共通の特徴として挙げられるのは、いずれにおいてもフリーランスは個人事業主として扱われ、企業からの社会保険の適用を受けることができず、また政府からの補助も受けにくいという点です。例えば、ミス・ビジュアルはドイツでもトップクラスのフリーランサーとして活動していますが、そのような立場にあっても、コロナ禍においては収入がゼロとなり、十分な政府支援を受けられなかったことで、経済的に危機的な状況に陥った経験があると語っています。
次に労働時間についてですが、フリーランスという働き方の特性上、労働時間は週ごとに大きく変動します。ドイツでは一般的に週40時間以上働く人は少数派とされていますが、複数の顧客との長期契約を維持するため、合計労働時間が50時間を超える週もあるとのことでした。ここで注目すべきは、日独間のフリーランサーの長時間労働の背景にある動機の違いです。ドイツにおいては、依頼者との長期的な関係構築や信頼の蓄積を目的とした戦略的な労働が多く見られます。一方、前述したとおり、現在の日本ではこの業界は飽和気味です。そのため、各案件に対する報酬は下がり気味になっているのは仕方ないとはいえ、供給過多により報酬が大きく低下している状況にあります。私自身、過去数年間に英語学習やスキル向上のため、オンライン案件において依頼者としてもフリーランサーとしても複数の案件に携わってきました。その際、日本案件とドル建ての海外案件の両方に関わりましたが、円安の影響を考慮しても報酬の差は数倍に及びます。
実際、「クラウドワークス」などの国内大手フリーランスサービスを調査すると、時給換算で500円以下の案件も珍しくありません。もちろん、対面案件や高度なスキルを必要とする案件は高単価になる傾向がありますが、同じ英語翻訳の案件であっても、海外と比較して数倍の報酬差が生じる国内案件は大きな課題であると考えられます。
国内案件の報酬が下がり気味になっている理由はもう一つあります。それは、フリーランサー自身による低価格での提案です。もちろんこれは日本に限った現象ではありませんが、飽和状態の中で案件を獲得するために、提示された報酬よりも低い単価で逆提案を行う事例が見られます。トップフリーランサーであるミス・ビジュアルさんも、この現象について「自身のスキルの安売りであり、業界全体にとっても望ましくない」と批判していました。このような状況は、日本におけるフリーランス市場の供給過多を示していると考えられます。
一方でドイツでは、どのような単純作業の案件であっても、依頼者がフリーランサーの労働時間を把握し、最低賃金以上の報酬が支払われることが一般的です。また、フリーランサーは高い専門性を有する人材であるという認識が広く共有されているため、全体として高単価の報酬が支払われる傾向にあります
二つ目の違いは両者の関係性です。日本はもともと上下関係に厳しいですが、それと同様に依頼者が優位な立場に立つ傾向があり、フリーランサーが対等に交渉することは容易ではありません。一方でドイツでは、ミス・ビジュアルさんが『選んだのは向こう』と話すように報酬を払う側ももらう側も同じ立場に立ち共同してプロジェクトを進行している関係にあります。
日本市場においてのフリーランス案件は現在想像がつかないほど飽和しています。例えば過去に私がインドに拠点を置く会社と合同で国際基準の条件で日本市場に依頼した案件では24時間で200人ほどの応募者が集まりました。さらにこの飽和状態の中追い打ちをかけるようにAIが登場し案件がさらに減少し始めています。ミス・ビジュアルさんはこの状況を現場で働くフリーランサーとしてはすぐに大きな影響はないと話す一方将来に関しては予測はつかないと話しておりました。もちろんこれはフリーランサーに限った話ではないですが、AIによって減る、増える職業がでてくるのは確定として労働環境も大きく変わる可能性があるのではないでしょうか。これらの要因が重なり、前述したとおり近年ではフリーランサーの中でも正社員への転向を希望する人が増加していると考えられます。しかし一方で、現在の日本の労働市場においては、一度フリーランスとして活動した人材が再び正社員として安定した職を得ることは容易ではないという課題も存在しています。AIの進展によって労働市場は今後さらに変化すると予想されますが、その中でどのような働き方が求められるのかを引き続き注視していく必要があります。

写真5:仕事をするミス・ビジュアルさん

写真6:ミス・ビジュアルさんの作品
今後について
これまでの計画通りにインタビューなどを進める一方ドイツで週に40時間以上働く少数派に注目もしてみたいです。ドイツではこれまでの調査通り週に40時間を超える労働時間はほとんどありません。ただこれは『一社で働く』場合です。もちろん少数派ですがフルタイムの仕事とミニジョブを掛け持ちして週に48時間以上働く人もいます。今後はドイツの労働に関してポジティブな要素だけではなくネガティブな要素も積極的に発見したいと思います。










