第8回目 4月の活動 食品ロス削減に取り組むボランティア団体でのボランティア活動開始&デンマークのイースター文化
Madboks Copenhagenにおける食品ロス削減ボランティアの活動開始
先月のレポートで紹介した、食品ロス削減に取り組むボランティア団体 “Madboks Copenhagen”(以下: Madboks)でのボランティア活動を今月から開始しました!私が行った活動内容やメンバーへのインタビューなどについて紹介します。
〈活動内容〉
私が今回行ったのは、食品の仕分け活動です。具体的な流れを説明すると、
- 集合・自己紹介
- スーパーマーケットやベーカリーで売れ残った食品の仕分け
- 仕分けた食品の詳細の記録(種類、量、産地など)
- 地域住民に配布する”mad boks(食品ボックス)”の作成
となっています。
今回の活動では、32のスーパーマーケットとベーカリーから、大きな箱55個分の食品が集められました。
食品の仕分けでは、種類、産地、1袋あたりの量、合計数などの詳細を食品ごとに専用のアプリを使って記録していきます。私は今回が初めての活動であったため何をしたら良いのか分からなかったのですが、他のボランティアの皆さんが優しく丁寧に教えてくださって、マスターすることができました。このように詳細に記録をすることで、毎回どれほどの食品を廃棄から救うことができたのかを知ることができます。今月は、371人のボランティアで約8トンもの食品を1,358人に届けることができたそうです!
(写真1)トラックで運ばれてきた、たくさんの食品
: トラックを運転し、各スーパーマーケットやベーカリーを回って食品を回収するのも、ボランティアのみで行っている。
〈ボランティアの方々にインタビュー〉
○シフトリーダー練習生のChiaraさん
Q.なぜこのボランティアを始めた?
― 友人が誘ってくれて入ってみた。すると、いい人ばかりで、皆と会って楽しく作業できることに居心地の良さを感じ、かれこれ3年ほどこのボランティアを続けている。
Q.食品ロスの問題についてどう思う?
― 最初はコペンハーゲンだけでこんなにも多くの食品が誰にも食べられずに廃棄されてしまうことになっていたのか、と衝撃を受けた。それと同時に、自分たちの力で廃棄量を減らし、かつ人々に食品を再配布できることは素晴らしいと思う。
○シフトリーダーのArtemisさん
Q.なぜこのボランティアを始めた?
― まず第一に、食べ物やエネルギーを無駄にすることが嫌い。そして、物事を効率的に進めることが好き。そのため、このボランティアは自分にとても合っていると感じる。
また、ボランティアをすることで、報酬として食品を持って帰ることができるため、食品を廃棄から救うと同時に、料理の選択肢を広げたり、より健康的なものを食べることができるのも嬉しい。
そして、この団体にはハイキングやスポーツなど、ボランティア間で交流することができる様々なコミュニティがある。それもこの団体の素晴らしいところ。
○インタビューを振り返って
私も実際に体感した、ボランティア間の仲の良さや、交流を促進するための取り組みがMadboksの魅力の1つであると、インタビューを通して再確認しました。「ボランティア」としての関係だけでなく、パートナー・仲間として活動できることは、彼ら彼女らのためにも、そして団体の士気をあげたり雰囲気を良くするためにも非常に重要であると考えました。
(写真2)仕分け後の食品たち
〈ボランティア活動全体を通して考えたこと〉
まず1番に驚いたのは、スーパーマーケットやベーカリーで売れ残った食品の多さです。時間が経ってしまい、状態が悪くなったものが多いのかと思っていたのですが、ほとんどがまだまだ安全に食べることができる食材ばかりで、中には熟す前の緑色のバナナなど、店頭に並んでいてもおかしくないものも多くありました。パンに関しても、有名なベーカリーで1つ800円ほどするパンが、店頭に並んでいるものとほぼ同じ状態であるのに廃棄対象となってしまい、私たちのもとに運ばれて来ていました。
このことから、Madboksが救う食品の多さに感激すると同時に、Madboksのような団体があることで、スーパーマーケットやベーカリーが余剰食品を減らすことに注力しなくなってしまう可能性もあるのではないかと考えました。本来ならば廃棄される予定の食品が社会に還元される、ということは社会一般的に見て良いことのように思われるため、「食品ロス削減団体に食品を提供している」ということを商業的に利用することもできます。(実際、Madboksのホームページにも、提携しているスーパーマーケットやベーカリーの名前が書いてあります。)確かに、廃棄予定食品を再配布することは非常に素晴らしいことですが、食品ロス削減団体存在の有無に関わらず、余剰食品自体を減らすことが大切であると感じました。
また、全てをボランティアのみで運営しているとは思えないほどの、活動の準備や采配、実行の徹底ぶりには脱帽でした。温かいアットホームな雰囲気を保ちながらも、このように全ての活動がしっかりと整備されていることが、設立からわずか数年で社会に大きな影響力を持つようになったMadboksの成功の秘訣だと感じました。
〈周囲に対する、Madboksの活動の紹介〉
友人や寮のキッチンメイトにMadboksの活動内容について紹介したところ、「環境にも家計にも優しい取り組みだね!」「自分もfood boxを受け取ってみたい」などの声を多く聞きました。また、Madboksでのボランティア活動自体に興味を持ち、登録方法を聞いてきた友人も何人もいました。
さらに、自身のInstagramのストーリーズで、私が行ったボランティア活動の概要について写真付きで発信したところ、多くの反響がデンマークと日本両方からありました。
このような、社会をより良くするための活動について、身近な媒体で発信している人の数は比較的少ないように感じます。だからこそ、そのような情報を発信する価値は非常にあると感じます。特に、InstagramやXなどを通して発信することで、よりお多くの若い世代の人々に伝えていきたいです。
デンマークのイースター文化紹介
(写真3)エッグペインティングで模様をつけた卵
: 針を使って卵の両端に穴を開けた後、息を吹き込んで中身を取り除き、殻に絵の具で絵を描いた。卵の中身はその後スクランブルエッグにして食べました!
日本ではあまり馴染みのないイースターですが、キリスト教を信仰している人が多いデンマークでは、イースターは、クリスマスと同様に非常に大切なイベントです。イエス・キリストが復活したことを記念するイースター(復活祭)の前後では、1週間ほどの休暇があり、人々は家族や親戚と一緒にイースターをお祝いします。
今回、デンマーク人の友人宅に呼んでもらい、生まれて初めてイースターをお祝いしました!私たちが行ったのは、”Påsketore”と呼ばれるツリーへのデコレーション、隠された卵を探すエッグハント、卵の殻に絵を描くエグペインティング、そして“Gækkebrev”と呼ばれる、切り絵の手紙作成です。
(写真4)作成したGækkebrevとイースターのお菓子、コーヒーケーキ
: コーヒーケーキはイースターとは関係がないが、皆で作ってとても美味しかった。デンマークの一部の高校では、ホームルームの時に、学生が交代でクラス全員のためにケーキを焼いて持ってくるらしく、このケーキは定番の1つであるため、「ホームルームケーキ」という別名もあるそう!今回参考にしたレシピも、一度に24人分作ることができるため、その別名に納得であった。
Gækkebrevでは、まず切り絵を作ったら、そこに手紙を書きます。手紙には差出人の名前を記入しないため、内容から差出人を推測します。私たちは、春の訪れを告げる花である”snowdrop”を季語として使用し、韻も踏んだ詩を作成して手紙としました。このような詩を考えることは思ったよりも難しかったですが、春の穏やかな雰囲気のもと、ゆったりとした時間を友人たちと過ごすことができました。
デンマークでの留学生活もあと2ヶ月となりました。このようなデンマークの素敵な文化を、残りわずかですが楽しんでいきたいです。
(写真5)4月末にコペンハーゲンで行われた、Sakura Festivalの様子
: コペンハーゲンには、日本であるかと錯覚するほど、至る所に桜の木がある。Sakura Festivalが開催される、かの有名な人魚姫像のある広場では、特にたくさんの桜が咲いている。美しい景色のもと、書道や和太鼓などをはじめとした日本の文化や、餅スイーツ、たい焼き、牛丼などの日本食を体験することができ、非常に多くの人で賑わっていた。