第3回目 11月の活動 Community Kitchenでのボランティア開始
Community Kitchenでのボランティア開始
先月のレポートで述べた学生向け施設Studenterhusetにおいて、念願のCommunity Kitchenでのボランティアを開始しました!
デンマークは、人々が公民館や文化施設などに集まり、家族や友人だけでなく、初対面の人とも一緒に同じテーブルを囲み食事をする“fællesspisning(フェレスピースニン)”と呼ばれるイベントの発祥の地です。Fællesspisningでは、手頃な価格で食事をすることができるため、家族連れや学生、海外からのバックパッカーなど、様々な背景を持った人々と共に食事をすることができるという特徴があります。「コミュニティ・キッチン」「コミュニティ・ディナー」「市民食堂」のように訳されることもあり、現在はデンマークだけでなく、世界にも広がりつつあります。
同様のことがStudenterhusetでも行われており、”Community Kitchen”と呼ばれる活動のもと、学生向けに破格の30 dkk(約630円)で毎週水曜日の夜に夕食を提供しています。デンマークで外食をしようと思ったら最低でも1人2,000円はかかるため、非常に良心的な価格です。そして、私も今月からCommunity Kitchenのボランティアとしての活動を開始し、料理・食事提供・片付けを行いました。今回はScalloped Potatoesというポテトグラタンのようなものと、グリーンビーンズサラダをボランティア4人で作りました。作り方自体は難しくなかったのですが、60人分も作らなければならなかったため、ボランティア間での協力が必須でした。また、使うことができる材料が限られており、学生にはお金を払って食べにきてもらうため、失敗もできません。国や文化が違うと調理方法なども少しずつ変わってくるので、どのように仕事を分担するか、どういう風に調理するかなど、意思疎通をとるためにコミュニケーションが非常に大切でした。今回は韓国、アメリカからの留学生と一緒に活動したのですが、料理を作っている際、それぞれの国の料理やその作り方について様々な話をしました。それらは非常に興味深く、食はそれぞれの国を表すものであるなと再認識しました。
(写真1:60人分の料理の材料)
出来上がった料理を学生たちに提供する際、”Hi! Good evening!”のような挨拶だけでなく、今日がどんな一日であったか、今回の料理はどのようなものであるかなど軽い会話をすることもあり、非常に暖かい雰囲気でした。どの学生も笑顔で「美味しそう!」「ありがとう」などと言ってくれ、とても嬉しかったです。その後実際に私たちボランティアもStudenterhusetの有給スタッフの方と一緒に食事をしたのですが、年齢や出身、所属も異なるその日初めて出会った仲間たちと食を通して様々な話をして盛り上がり、楽しい時間を過ごすことができました。日本の飲食店でアルバイトをしていたときは、余った料理は全て廃棄をしなければならず非常に胸が痛かったのですが、今回余った少量の料理も全て私たちで持ち帰ったため、破棄することがなく、その面でも非常によかったです。
(写真2:できあがった料理)
実は今月、StudenterhusetのCommunity Kitchenに、ボランティアではなく食べる側としてもチケットを買って参加してみました。ここでのfællesspisningも、初対面の人と一緒に食事をすることができるのかなと思っていたのですが、実際は2~4人がけのテーブルで知り合いと食べるケースがほとんどであるということが分かりました。私の場合は、友人と、偶然出会った中国出身のその子の友達(私にとっては初対面)の3人で食事をしたため、「初対面の人と一緒にテーブルを囲んで食事をする」というfællesspisningのコンセプトを一応実現することができました。しかし、せっかくデンマークにいるため、他のfællesspisningにも参加して、より多くの人と交流してみたいと思いました。
そこで、Absalonという場所で行われる、デンマークで最も有名なfællesspisningに今後参加してみたいと思います。寮のキッチンメイトから聞いた話によると、そこではスタッフが決めた座席表のもと、初対面の人と同じテーブルに座ります。話し合いの進行役、料理を取りに行く役、片付けをする役など、テーブル内で様々な役割を決める必要があり、皆で協力したり、会話をすることが必須となる仕組みになっているそうです。良心的な価格で食事をすることができることから、様々な年代・職業の人が訪れると聞いたため、将来地元出雲の多文化共生に貢献するための第一歩として、食を通して背景の異なる人々と交流する際に大切なことを、Absalonでのfællesspisningから学びたいと思います。
(写真3:朝の散歩中の風景)