第7回目 3月の活動 建築の民主化に向けた実践と課題策
1.設計した建物
フィールドワークを通して、建築の観点から、ワラスの問題点を洗い出し、それらを改善することを意識して住宅を設計しました。この住宅は、一階を店、二階を住居としています。ワラスには毎朝市場が開かれるのですが、強い日差しの下で硬い地面に座って野菜を売っている人が多いですが、この住宅は、強い日光を遮るためのピロティが一階部分に設けられています。
外国の敷地を対象として建築物を設計することで、いかに現地の文化に合わせて設計するかを学ぶ、効果的な練習になったと思います。将来、隠岐で建築を手がける時、隠岐の自然や文化を破壊せず共存する建築物を設計できるよう、今回の経験を活かそうと思います。

写真1:設計した住宅の写真
2.ボランティア
建物を使う時だけでなく、建物が建てられる過程も人々のコミュニティの一つにするにはどうすればいいかを知るために、ワラスのとある場所にある建設現場にお願いして、建物の建設を手伝いました。複雑な仕事はまだ学生なので許可は貰えませんでしたが、建材を運んだり、スクリュードライバーを使って釘を打ち込んだりなどの作業を行いました。ワラスの実際の建設現場は、日本と比べて安全意識が低いと思いました。命綱等の物は無く、建物の骨組みは鉄骨ではなく木でした。また、地面には囲いは無く、防音対策もされていません。ペルーでは、建物の建設や建物そのものの価格が高く、安全や周囲の影響への対策を徹底するのは難しく、ある程度省略せざるを得ないのだそうです。私は将来、「デジタルファブリケーション」を活用して、あらかじめ加工された建材を組み立てるだけでできる建物を住民と一緒に行うという目標があるのですが、建築に関する知識を持たない人と一緒に建物を建てるので、安全管理に特に注意しなければなりません。住民に、建設に際しての注意事項をあらかじめ説明しておくこと、建設中に交代制で監視係を設けること、そもそも高い建物や複雑過ぎる建物は建てないこと、これら三つは、住民と一緒に建築を行う上で有効な対策ではないかと思いました。
建築ボランティアの最中、休憩時間がありました。さっきまで働いていた人が雑談をしていました。その光景を見ていてあることを思いつきました。それは、住民と建築をする時、休憩時間をただの休憩ではなく、交流の時間にするというアイデアです。例えば、皆でテーブルを囲って一緒に話をしながら食事をしたり、小規模のレクリエーションをしたり等です。普段は挨拶をする程度の隣人同士でも、同じ建築に参加することでお互いに関わり合う機会を見つけることができます。このようなことを隠岐の島でやってみたいなと思いました。



写真2,3,4:ボランティアの様子
3.ワラスの人々とのディスカッション
建築家の方からパターンランゲージという手法を教えてもらいました。パターンランゲージとは、ある「状況」に応じて生じる「問題」とその「解決」の方法がセットになったものに「名前」(パターン名)がつけられ、それを共通の言語とすることです。これを使えば、建築に関する知識がない人でも建築について考えることができるようになります。
これを建築の民主化の実現に使えるのではないかと思い、私がフィールドワークを通して作成したワラスの課題について書かれたカードを使ってワラスの人々とディスカッションをしてみました。これらのカードを共通言語として共有し、ワラスの問題点や解決方法について話し合いました。特に興味深かったのは、建築を専門としていない人でも「〜にしたら良いのではないか」というように意見を出せるようになったことです。
留学前は、デジタルファブリケーションを使って誰でも建築物を作れるようにしようと考えていましたが、これをパターンランゲージと組み合わせると、住民は住んでいる街の今後のあり方について議論することができ、且つそれを自らの力でカタチにできるようになるのではないかと思います。


写真5,6:パターンランゲージのカードの写真
4.来月の目標
来月は留学最終月になるので、後悔のないよう、建築ボランティアとスケッチの授業を受け、現地の人々と積極的に交流し、建築の民主化の理想像をより具体的にするために努めようと思います。来月もパターンランゲージをより効果的なやり方でやりたいと思っています。街づくりにおいての問題点だけでなく、世界の都市計画の成功事例を共有することにも挑戦したいです。










