留学の概要

私は、デジタルファブリケーションを使うことで誰でも建築に携わることができる、すなわち建築の民主化を目標として、デンマーク(2か月)とトルコ(3か月)とペルー(3か月)に滞在する留学計画を立てました。建築ボランティア、フィールドワーク、スケッチ等を通して目標達成への基礎力と新しい視座を身につけることが狙いです。 

デンマークの様子

9月のデンマークの平均気温は12〜17℃程度でやや涼しい気候です。気候の変動が激しく、晴れていたのに急に雨が降り出したかと思えば、5分くらい待ったら止むことが頻繁にあります。ほとんどの道路と歩道の間には自転車用の道路があり、電車に自転車を持ち込めるスペースもあることから、デンマークの自転車の使用率の高さが伺えます。

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(写真1)湖と城。

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(写真2)大量の自転車置き場と自転車専用道路。コペンハーゲン内はこのような駐輪場が至る所にある。

 

ホームステイ先での屋根建設

コペンハーゲンから少し離れた所にあるアンドレアスさんの庭園にボランティアを兼ねて滞在しています。緑が豊かな場所で、近くに湖と城があります。ホームステイ先ではいつも屋外で食事をするのですが、急に雨が降り出すことがよくあり、天気予報もあまり当てにならないので、アンドレアスさんとモーリシャス島から来たフィリップさんと一緒に、家のバルコニーに屋根を作ることにしました。フィリップさんは故郷で大工をしていたことがあるらしく、一見簡単そうに見える屋根ですが、建設する際の構造面での懸念点を事前に多く見つけていました。屋根の勾配や、それを考慮しての板材の寸法と板材の数を計算し、実際に建設する時はここを切断したらどうなるか、ここに釘を打ったらこうなるから違うやり方にしないか、などの会話が頻繁に行われていました。複雑な情報を英語で相手とやり取りするのはとても困難でついて行くのでやっとでした。

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(写真3:屋根建設前、写真4:屋根枠建設後)

完成してからは屋根の下で食事をするようになりました。雨が降っても濡れることがなくなったので、デンマークの気候に上手く適応できたと思います。

 

ボランティア活動

コペンハーゲンで行われる、Copenhagen Architecture biennialでの2つのイベントに参加しました。1つ目は、アマモという海藻を使って建築をするというものです。その斬新なアイデアに考えさせられました。うまくいけば島であるデンマークでは相性のいい建築材料になると思います。日本では建築材料の生産や建物の解体などが環境問題として挙げられます。しかし海藻であれば入手は容易で、植物なので環境にも優しいのではないかと思います。隠岐でも島特有の物を利用することでオリジナリティを出しつつ環境保全に貢献できるのではと思いました。

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(写真5:アマモが飾られた小さなパビリオン。17世紀にはアマモは食料または家屋として利用され、かなりの強度があった。また、塩分を含んだアマモはネズミや腐敗を防ぐだけでなく、火と水に強いらしい。)


2つ目はrepair cafeという、家具などの修理に関するイベントです。お金さえ払えば何でも用意できるこの時代に、人々の意識が追いついていないためか、大量生産と廃棄は依然として大きな環境問題です。Repair cafeは、個人が身近なものを直す、つまり物の寿命を延ばして環境問題に対処することを目標としています。私はドアノブの修理や、レンガの壁に本棚の設置に挑戦してみました。

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(写真6)建築家の方々のお話

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(写真7)レンガに穴を空けている時の写真

どちらもやり方さえ知っていれば誰でもできる簡単な作業でした。私が将来やってみたいデジタルファブリケーションは、生産して建設する技術であり、作ることより減らすことが求められている現代の社会とは少し相性が良くないのかもしれません。しかし、印刷された建材を組み立てるだけで家が作れるという強みがあります。家の構造がシンプルになればなるほど、建築の知識がない人々でも家を修理する余地が生まれるのでは?と思いました。

 

アンバサダー活動

ホームステイ先で、文化交流と島根の良さを知ってもらうために、海外の人々と協力して和紙で工作をします。今回はランプシェードを作りました。枠組みは余った木材を使用し、四つの面に和紙によるちぎり絵を貼り、内側にランプを置いて火をつけることで和の温かみのある光を作ることができます。四面の内の二面を、デンマーク人の方とブラジル出身の方に作ってもらいました。特にブラジル出身の方は、日本の文化に興味があるらしく、ちぎり絵をとても楽しんでくださっていました。屋外の屋根が完成してからは、夕食を屋根の下のテラスで食べるよようになり、会話を楽しむのですが、辺りを照らすために使われていたロウソクの代わりに自作ランプシェードが置かれるようになったので実用性のある工作ができたと思います。

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(写真8)自分が作った作品、(写真9)ブラジル出身の方の作品

来月の目標

来月はコペンハーゲンのフィールドワークと共にスケッチの練習を進め、それらを活かして集合住宅を設計したいです。設計のプロセスを通してデンマークの長所短所を多く見つけ、日本で建築設計をする際のアイデアを増やせたらいいなと思います。