第6回目 2月の活動 ペルー(ワラス)でのフィールドワークと文化観察
1.フィールドワーク
ワラスの街中を散策しました。ペルーを訪れる前は、もっと植民地時代の建築様式が色濃く残っているかと思いましたが、ほとんどの建物はアドビやレンガでできていて、ワラスで最も大きくて特徴的な建築は教会です。語学学校周辺に教会が三つあり、その内の一つの内装が特徴的でした。
教会建築でよく見かける三廊式に見えますが、平面が台形状になっているのは初めて見ました。現在、ペルー人のおよそ八割はカトリック教徒なのだそうです。教会の外には、スペイン人と思われる石像と、伝統衣装を着たペルー人の像がありました。もし、スペイン人がペルーを植民地化しなかったら、インカ帝国が滅びなかったら、現代のペルーの建築はどうなっていたのでしょうか。

写真1:フィールドワークのノート

写真2:教会正面

写真3・4:教会内部、側廊は奥に進むほど天井が下っている。
2.ワラスの市場
毎朝、ワラスでは市場が開かれます。人と車の往来が多く、ポンチョを着た女性達が座り込んで野菜を売っています。ニンニク、ニンジン、唐辛子や、マンゴー、アボカドなどだけでなく、日本では見かけない芋や豆もあります。これらは量り売りで、とても安いです。スーパーなどで食品を買おうとすると、日本と同じくらいの値段ですが、市場ではアボカド1キロ(5個)で100円、トマト1キロ(約8個)150円ほどです。マンゴーも1キロ(2個)150円でした。この安さのためか、多くの人々が市場を利用しています。しかし、混雑しており、日差しも強く、売人は硬い道路の上に座っています。なにより、野菜や肉が常温で数時間放置されているのが衛生上よくありません。これらの問題を建築を使って改善できるのでは?と思いました。

写真5・6:市場の様子
3.カーニバル
今月、ワラスではカーニバルが開催されました。このカーニバルには、混沌を無くし、秩序をもたらすという目的があります。現地では、パレードや踊りをしているのを見かけました。最も特徴的だったのは、「戦いの火曜日」と呼ばれるもので、水風船や染料を投げ合うイベントです。人、道路だけでなく、車や建物、犬でさえもカラフルになってしまいます。数週間が経過した後も、染料はいまだ残っています(雇われた業者が後で掃除するらしい)。


写真7・8:カーニバルの様子
4.語学学校
スペイン語を学び始めて二カ月が経ちました(独学と語学学校一ヶ月ずつ)。発音が日本語と似ており、趣味としてフランス語を学んでいたおかげで、動詞の多い活用も大抵は使いこなせるようになりました。
英語とスペイン語のみで生活していくうちに、建築と言語の関係についていくつか発見がありました。日本語が母国語なのでほとんどの場合日本語が最も流暢なのですが、しばしば「これは英語の方が表現しやすいな」「スペイン語の方が言いやすい」と思うことがあります。それに、建築を日本語だけで説明しようとするととても煩雑になります。例えば、コンセプト、ダイアグラム、RC造などの専門用語です。また、日本語には無い表現も世界にはあります。デンマークで知ったヒュッゲがいい例です。今後も様々な言語を学ぶことで、幅広い表現と発想力を身につけようと思います。
5.登山
語学学校で知り合ったカナダ人の友人と一緒にワラスの山の上にある湖に行きました。外国人料金(1500円)を支払ってひたすら階段を登りました。湖の近くで後ろを振り返ると、山に囲まれた平地に茶色の屋根が密集しているのが見えました。このことから、コミュニティは平地に集中しやすく、山の多いペルーはその分発展しづらいのではと思いました。山を観察すると、日本の山のように木々が生えている部分は比較的少なく、それがペルーに木造建築が少ないことと関係しているのかなと思いました。

写真9:山から見た街、写真10:湖
6.チャビン・デ・ワンタル遺跡
ワラスからバスで4時間かけてチャビン・デ・ワンタル遺跡を訪れました。インカ帝国時代以前の紀元前1200年〜200年頃にかけて栄えたチャビン文化を代表する、世界遺産に登録されている遺跡です。遺跡は石でできており、地下には通路と水路が張られていたようです。通路は迷路のようになっており、最奥には神を象ったとされる石柱がありました。この遺跡は、宗教を信仰するための神殿だったと言われており、ここで人々はサボテンを原材料として作られた幻覚作用のある飲料を摂取し、松明一本で迷路の中を練り歩いたのだそうです。その儀式を通じて得たインスピレーションを利用して、人々は壁画と人の頭「テノンヘッド」を作りました。壁画はチャビン文化の神話に出てくる架空の生き物が描かれており、テノンヘッドはサボテンジュースを飲んだ人が怪物に変化する様を表現してます。

写真11:遺跡のフィールドワーク、写真12:遺跡

写真13:地下通路、写真14テノンヘッド
7.来月の目標
今月のフィールドワークの結果から住宅のアイデアの着想を得ることができました。日光を効率よく取り入れ、建物の上で野菜の量り売りができる、外に対してオープンに交流できる住宅です。来月はボランティアを行いつつ、住宅の設計を進めようと思います。










