1.ブリスベンの5月の様子

5月のブリスベンは、朝晩は肌寒く感じる日が増え、冬の訪れを感じる気候となりました。日中は過ごしやすく、空気が乾燥しているため、体感としては非常に快適ですが、朝晩はかなり冷え込み日照時間も短くなって来ました。現地では冬に向けての準備が始まり、街中でも長袖を着ている人が目立つようになりました。
留学最終月ということもあり、いつもより意識的に街を歩いたり、新しい場所を訪れたりするようになりました。毎日が新鮮である一方、もうすぐ日本に帰国することへの寂しさと、少しの嬉しさが入り混じった気持ちで過ごした1か月でした。

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(写真1:ブリスベンの街の夕焼け)
 

2.現地高校でのボランティア活動

今月も引き続き「Kedron State High School」にて、日本語クラスのアシスタントとしてボランティア活動を行いました。生徒たちの日本語学習を支援する中で、教育現場により深く関わることができ、毎回新しい発見と学びがあります。
さらに今月は、特別に数学の授業の見学もさせていただきました。生徒一人ひとりがノートパソコンやタブレットを持ち、教員の画面がリアルタイムで共有される中で、自分のペースで課題に取り組んでいる様子は非常に印象的でした。ICTが自然に授業に組み込まれており、生徒が主体的に学べる環境が整っていることを肌で感じ、日本の教育現場との違いに改めて気づかされました。

日本語の授業では、曜日ごとに担当する先生が異なるため、授業の引き継ぎや進度管理、英語でのコミュニケーション、そして日本語がネイティブでない先生へのサポートなど、多面的な対応が求められました。最初は難しさも感じましたが、徐々に先生方との距離が縮まり、感謝の言葉をいただく機会も増え、現地教育チームの一員として認められているという実感が得られました。

中学2年生のクラスでは、語彙の習得を目的に、身体を動かすアクティビティを取り入れながら、楽しみながら学べるよう工夫された授業が行われていました。また、日本文化をテーマに調べ学習を行い、パワーポイントで発表するなど、生徒たちが自分のペースでICTを活用して学習を進めている様子がうかがえました。印象的だったのは、パソコンや接続機器にトラブルがあっても、生徒が自ら他の端末を使ったり、メールで資料をやり取りしたりと、柔軟に対応している姿です。ICTが単なる道具ではなく、日常の中に自然と溶け込んでいることがよく分かりました。

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(写真2:中学1・2年生の授業の様子。ポケモンのマンホール塗り絵を使い、色や数を日本語で表現するアクティビティを行いました。「大きい目がふたつ」などの文型を使いながら、生徒たちは楽しく取り組み、「このポケモン好き!」「先生は本当にここ(島根)出身なの?」と多くの質問をしてくれました。)

また、今月は保護者と教員との「三者面談」の様子を見学することもできました。日本では、クラス担任と保護者、生徒の3人が教室などで行うイメージがありますが、オーストラリアでは、各教科の担当教員が並ぶブースを生徒と保護者が順に回っていく形式が取られており、まるでキャリアフェアのような雰囲気でした。各保護者がノートを持参し、自由に質問をしている姿も印象的で、より具体的で有意義な時間になっているように感じました。面談時間の予約は事前にメールで送られてくるフォームから保護者が入力する「早い者勝ち」方式であり、ここでもICTの効率的な活用が見て取れました。

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(写真3:三者面談の様子。広い会場に並ぶブース形式で、保護者と生徒が各教科担当と対話する形でした。)

学校の規模が大きいため、各専門ごとに職員室が分かれているのも特徴のひとつです。私が所属していた国際課の職員室では、週に1回のペースで先生方が食べ物を持ち寄り、誕生日などをきっかけにパーティーが行われていました。特にイベントがなくても、誰かがスイーツを持ってきてティータイムが始まるなど、温かく自由な雰囲気がありました。そうした中で私も、抹茶のレアチーズケーキを持参したところ、とても喜んでいただけて嬉しかったです。教員同士の交流が活発で、職員室がただの仕事場ではなく、コミュニケーションとチームワークの拠点になっているように感じました。

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(写真4:誕生日パーティーの様子。持ち寄りの料理が並ぶ和やかな時間に、私も日本のスイーツで参加させていただきました。)
 

3.現地校での米麹ワークショップ

留学最後の月の活動のひとつとして、今月は甘酒とココアパウダーを使った生チョコ風味のお菓子作りワークショップを実施しました。今回はボランティア先の職員室の先生方を対象に行いました。
Kedron高校では、休憩時間に食べ物を持ち寄って先生方が交流する文化が根付いていますが、最近では「今ダイエット中なの」「砂糖の摂りすぎを避けたい」といった声も多く聞かれました。そこで、今回は甘酒・ココアパウダー・はちみつのみで作る、砂糖不使用のヘルシーなおやつを提案しました。甘さ控えめでビターチョコレートのような味わいに仕上がり、大人の味ではありましたが、試食前から「これどうやって作ったの?」「材料は何?」と興味を持ってくださる先生が多く、活発な会話につながりました。
同じ時期にクイーンズランド大学に通っていたKedron高校の卒業生の協力もあり、空き時間を活用して一緒に調理・準備を行うことができ、最後まで楽しく取り組むことができました。

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(写真5:出来上がったスイーツと一緒に日本語授業をサポートしたガビ)
 

4.まとめ:留学の振り返りと感謝の気持ち

いよいよ今月で、約6か月にわたるオーストラリア・ブリスベンでの留学が終了となります。この留学を通じて、語学力の向上はもちろん、教育現場での実践、日本文化の発信、そして人との出会いや国際交流など、多くのかけがえのない経験を得ることができました。
このレポートの場をお借りして、改めて感謝の気持ちを伝えさせていただきます。まず、この貴重な機会を与えてくださったグローカル人材育成事業関係者の皆さま、支援企業の皆さまに心より感謝申し上げます。そして、準備段階から常に見守ってくれた家族や友人たち、現地で私を温かく受け入れてくださった先生方、ホストファミリー、ボランティア先の皆さまにも、心からの感謝をお伝えします。
この6か月間で得た学びや気づきは、今後の人生や将来の進路に必ず活かしていきたいと考えています。特に教育現場での実体験は、島根で教員を目指すうえでの原動力となりました。これからも、自分らしく学び続け、地域社会や教育に貢献できる人材となれるよう、努力を重ねていきたいと思います。