1.ブリスベンの3月の様子

3月初旬、ブリスベンでは20年ぶりとなるサイクロンが直撃し、学校の休校、ゴールドコーストのビーチの崩壊、空港の封鎖など、多くの被害が発生しました。私の住んでいる家では水道や電気の被害はありませんでしたが、周囲では浸水や停電、水が止まるなどの被害を受けた家庭もありました。
ブリスベンではサイクロンが来ること自体が非常に珍しく、地域全体が緊張感に包まれていました。日本のようなハザードマップが存在しない、避難場所が遠く、また毛布や食料などが備えられていないなど、日本との防災の違いも目の当たりにしました。私は島根に住んでいた頃、こうした災害を経験したことがなく、危機感が無かったことから「なんとかなるだろう」という気持ちから特に対策を取っていませんでしたが、激しい雨が降った際は強い不安を感じ、備えの大切さを実感しました。
ブリスベン市内は幸い大きな被害を受けませんでしたが、その後も雨の日が続き、まるで島根の梅雨のような気候でした。


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(写真1:現地のスーパーマーケットで商品が売り切れている様子、ニュースを全く見なかった私はこの光景を見て初めてことの重大さを知りました)

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(写真2:ルームメイトと家中にある容器に水を入れ水が止まった時のための対策をしました)
 

2.語学学校での米麹ワークショップ

2月のチーズケーキづくりに続き、今月はリクエストを受けて「塩麹」を作るワークショップを実施しました。語学学校内では現在、健康志向が高まっており、各自が自炊し、手作りのランチボックスを見せ合うのが日課になっているため、今回のテーマも大変好評でした。
塩麹は完成までに10日ほどかかり、毎日かき混ぜる必要があるため、実施は難しいかと思いましたが、語学学校に通いながら毎日経過を共有することで、変化を楽しみながら行うことができました。最初に米麹を見たとき、参加者は「これが本当に甘酒になるの?」「チャーハンみたい!」「固くて驚いた」とさまざまな反応を見せてくれました。完成した塩麹を見て、「これ、よく美桜のお弁当に入ってるやつだ!」と感動してくれたのが印象的でした。
塩麹特有の栗のような香りを体験してもらい、五感を通じて日本文化を感じてもらう良い機会になりました。

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(写真3:ワークショップの様子)

 
3.日本語学校での活動

今月も引き続き、日本語学校でのボランティア活動に参加しました。今月は日本や島根を紹介するワークショップを予定していましたが、サイクロンによる授業の中止や、卒業式準備による時間不足により実施が困難となりました。
その代わりに、授業の合間を使って3月にちなんだ日本の「桜」や「ひな祭り」の話を紹介したり、島根と鳥取の位置を確認したりといった活動を行いました。中学3年生のクラスでは、半数が日本に住んだことのある生徒、残りが未経験の生徒で構成されていましたが、日本に行ったことのない生徒からは「次は松江城と桜を見てみたい!」という声をもらうことができ、嬉しい気持ちになりました。

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(写真4:漢字の勉強の様子。徐々に漢字全体が見えるようになる仕組みになっていて生徒も積極的に答えていました。漢字と言えば小学生の時書いて、読んで覚えると言ったイメージがあったのですが、このようにクイズ形式で楽しく学ぶことができるアクティビティーは印象的でした) 

4.教育インタビューと卒業式の経験

今月は教育制度について気になっていた点を調べるため、現役の高校生で元国際学校出身のサイモン君にインタビューを行いました。オーストラリアでは、インターネット上のいじめや被害を防ぐため、16歳以下のSNS使用を制限する法律が昨年4月に施行されました。しかし、実際には「弟は普通にインスタを使っていて、何の制限もないよ」という話を聞き、制度と実態のギャップに驚きました。この法律自体は良い第一歩だと感じていたため、今後の改善の必要性を感じました。
また、卒業式では各学年が日本の歌を贈るなど、心のこもった感動的な式でした。2ヶ月という短い期間でしたが、生徒の日本語力の成長を見届け、それぞれの語学レベルに合わせた言葉選びなど、教育的な工夫を重ねる中で、私自身も柔軟な対応力を身につけることができました。

 
5.現地高校での日本語クラス支援

日本語学校の校長先生にご紹介いただき、現地の高校で日本語クラスのアシスタントボランティアを体験する機会をいただきました。授業では、生徒が日本語で質問に答える形式で進められており、ほとんどの生徒が日常会話レベルのスキルを持っていて驚きました。
私は語学学校で英語を学んでいる立場として、自分の学習経験を活かしながら、ゆっくり話すことやボディランゲージを交えて説明するなど、生徒が理解しやすいよう工夫をしました。ときには日本語を英語で説明したり、英語での質問にも対応したりと、翻訳機を使わずにやりとりできたことで、自分自身の成長も感じられる時間となりました。
来月から始まる現地中学校でのボランティアの良い練習にもなり、とても有意義な経験でした。

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(写真5:このように4〜5人のグループに分かれ話し合う形で授業を行いました。また、メモを取るときにノートに書く生徒、パソコンに記入する生徒がいました。生徒の学習しやすい用途を選ぶ時ことの出来る環境がいいなと思いまし)
 

6.まとめと今後の展望

3月はサイクロンという自然災害を経験しながらも、さまざまな活動や出会いを通して多くの学びを得ることができました。日本語学校や現地高校での教育支援活動、語学学校でのワークショップを通じて、教育や文化発信に携わる楽しさと責任を感じています。
来月には語学学校を卒業するため、残りの時間を大切にしながら友人との思い出をたくさん作りたいと思います。また、現地中学校でのボランティア活動も決まり、さらに多くの人と関わる中で、日本や島根の魅力を伝える機会を広げていきたいです。今後は、他のコミュニティにも参加し、ワークショップ活動を通して多方面にアプローチしていきたいです。